先日(10/11)、(株)ピープルフォーカスコンサルティングが主催する「GIAリーダープログラム」の報告会に出席しました。東京で4日間のワークショップ→スリランカで2週間のフィールドワーク→東京で2日間の総括という、期間にして5か月程度の長期プログラムです。このプログラムの概要は知っていたのですが、実際に参加された方が何を感じ、学んだのかを実感したいと思った次第です。
報告会で出た「U理論」については、私自身はほとんど知らなかったのですが、その中身は、多少は私も実践している内容でした。「新しい/全く知らない環境の中で行動する時」にとても役に立つのではないかと思いました。
そもそもU理論とは?
「U理論」とは個人の変容や組織のイノベーションのための理論で、オットー・シャーマー博士が提唱しているものです。PDCA(Plan・Do・Check・Action)がどちらかといえば、過去の行動をベースにその延長線上にあるものではないかと思います。それに対してU理論は、未来を軸にしている、というか、今までに全く無い/異なっているものから何かを生み出すイノーベーションのための原理だそうです。
「GIAリーダープログラム」では、スリランカで様々な課題に取り組むことになっているため、日本でのビジネス慣習や「暗黙知」というのはほとんど通用しません。そういった中で何らかの成果を生み出すためには、「イノベーション」をおこす必要があり、この理論が役立ったようです。
U理論は大きく3つのプロセスにわかれています。具体的には「Sensing(感じ取る)」「Presensing(内省する)」「Creating(行動に移す)」です。これをさらに7つのステップにわけることもできるようです。(今回は割愛します)
Sensing(感じ取る)
この段階では「ひたすら観察する」だけです。この報告会でも例としてあがったのは、転職して新しい会社に入った時の態度・ふるまいです。会社によって同じ業務であっても、そのやり方や重点を置いているところはそれぞれであり、前職と大きく異なっていることもあるでしょう。その際に「前の会社ではこうだった」とか「そんなやり方だと非効率的だ」といったことを言って、「自分はすごいアピール」をする方がいますが、それはむしろ逆効果です。
本来こういう時は、どういう状況なのかひたすら観察して、現状を把握するだけでよいはずです。もちろん、意見や前職でのやり方を聞かれたら答えるのは全く問題ないでしょう。ただ、そういう状況でもないのに、あれこれ言う必要はないです。評価も批評も不要です。
これに近いものとしては、「業務の引継ぎ」です。これも、業務を引き継いでいる時点で、前任がやっていたことについてあれこれと「評論」するのは、やってはいけないことです。まずは、現状を受け入れるのが肝要。別にそれを変えるなというわけでないです。まずは現状を受け入れて、自分が本担当になってから変えればよく、その前段階でグダグダ言うな、ということです。
Presensing(内省する)
「Presence(存在)」と「Sense(感じ取る)」があわさった造語だそうです。この段階では、一歩さがって内省することで、何か(内なる知:ノウイング)が現れるのを待つことが重要です。先ほどの転職時の振る舞いなどにもあてはまるでしょう。ずっと観察していることで、そこで長く勤務している人にとっては「当たり前」なことが、実は明らかな遠回りな作業があったりすることに気づくかもしれません。あるいは、全く別の手法がひらめくかもしれません。これは、過去の延長にある「改善」ではなく、新しい可能性につながる「変革」とも言えます。
Creating(行動に移す)
「変革」の可能性に気づいてから、素早く行動に移すことがCreatingです。転職時の行動でもあてはまるでしょう。観察から内省につながる行動を通して、実際に何かに気が付いた時に、即時に行動に移す=成果を示すことで、周囲の方にも「おお!」って思われるだけではなく、新しい環境でも受け入れられていくと思います。そうなればしめたもので、何かを発言しても、聞く耳を周囲が持つようになるでしょう。
「GIAリーダープログラム」のメインは、2週間のスリランカでのワークショップです。スリランカは多様性が凝縮された人口構成で、急速な経済発展もしている新興国ゆえ、日本でのビジネス経験が通用しない環境だったようです。そういったところでの様々なワークショップを通じて、受講者の行動特性が変わっていくだけではなく、変革を生み出す力がついたとのことです。既に6回実施しているゆえ、受講生がそういった経験を活かして、どのような活躍をしているのかを知りたいなと私は思いました。
<新しい環境に入る方を迎える側はこちらを参考に>