環境の変化などいろいろなきっかけが重なって、独立してから1年が経過しました。当初の想定して顧客や働き方は以下の通りです。
「スタートアップ企業などの『事業だけではなく、そろそろ人事に力を入れていきたい』と思っている小規模の会社」に対して、「週5日フルタイムではない工数」で「人事全般」を支援し、「同時に複数会社」を担当することで「私自身は複数会社から収入を得る」
・・・というものでした。
それが実際にはどうだったのか?結論を先に申し上げると、「週5日フルタイムではない工数」で「人事全般」を支援し、「同時に複数会社」を担当するというのは、自分の思った通りになっていると言えます。しかし、対象顧客の点は予想とは異なっておりました。
こちらのTweetの反響がかなり大きかったこともあったので、すこし掘り下げてみようと思います。また、人事に関して何らかの課題を感じているスタートアップ企業の方には、「低リスク投資」をお勧めします。
これから人事を立ち上げようっていう、いくつかのスタートアップ企業でも、こんなこと言われたことある。いや、そこじゃなくて、何を支援するのかってとこが重要なのに、なぜそこだけ変に保守的なのか・・・。たぶん、中身(やってほしいこと)をわかっていないから、時間で区切るしかないんだろうな。 https://t.co/0iBtMFnRTq
— Nagami_Aldoni Inc. (@nagami_aldoni) September 16, 2017
大企業が顧客のメインである
この1年で担当した(している)企業のほとんどは、「会社名を言えば、誰もが知っているような大企業」か「外資系企業」のどちらか、あるいはその両方です。そもそも、私自身がスタートアップ企業の方々との接点を独立前には、全く持っていなかったというのが原因の一つでしょう。また、業務委託の仕事を紹介してくれるエージェントからの案件であっても、ほとんどは、上記にあてまはり、スタートアップ企業からの案件はめったにありませんでした。
業務内容がある程度決まっている
そういった企業から依頼される案件は、業務内容がある程度、確定しています。例えば以下のようなものです。
- 採用戦略の見直し
- 人事システムパッケージセレクション
- システム導入の要件定義
- 人事部門業務プロセス改善
- 時給体系見直しとその実現プラン
などなど、「人事関係である」ということが前提となったうえで、「こんなことを実現/改善したい」「人員が足りないから支援してもらいたい」といった目的を達成するための仕事として委託されています。
また、このように「何を実現させたいのか」を明確にし、スケジュール調整や役割分担を定義していくことで、たいていは週5ではなくとも十分な成果が得られました。
失注したケースに共通した点
全ての案件が受注できたわけではなく、お断りされたケースもありました。その中でありがちだった、そして今後も発生するだろうケースを4つほどご紹介したいと思います。
ケース1:できればフルタイム(週5)常駐で働いてほしい
スタートアップ企業に限らず、どの企業でも意外と多いのが、これです。何かあった時にすぐに話したいから、常駐してほしいということのようです。企業からすればフルタイム勤務の正社員の代わりということなのかもしれません。
しかし、もしフルタイムで勤務することが承諾できるならば、最初からフルタイムの正社員のポジションを探して企業に就職します。あえてそうしないのは、複数企業で同時に勤務したい(収入源を複数持ちたい)、自分のスケジュールを主体的に管理したい・・・という考えがあるためです。そのため、これを強く求められると、「そもそもご縁が無いのかな」と判断せざるを得ません。
ケース2:マーケットにおける同ポジションよりかなり低い(年収ベースで20%~30%減)
これは、スタートアップ企業に多いです。自分で起業するわけではなく、どこかに雇われるということは、その目的として「生計を立てる」「働いて得たお金で自分がやりたいことや欲しいものに費やす」というのが、上位にくるはずです。一方、スタートアップ企業側は、「人事の専任で、かつ、いろいろと経験を積んだ能力の高い人がいいけど、報酬は多くは出せない」という矛盾したニーズ(?)を出してくるので、それでは需要と供給があわないでしょう(笑)。
年収も下がり、立ち上げたばかりの会社といった、多くのリスクがあるところにあえて転職しようと思う方がいるとすれば、IPOによるストックオプションが見込まれるとか、「成果を明確に出していれば、ある程度自由に複業活動も行ってよい」というような時間的拘束が少ない状況が得られるなど、当事者にとって重きを置いている何かが得られるべきだと思います。(もちろん、それだけの成果を出すできることがその前提となります。)
仕事に対する「やりがい」や「誰と働くのか」は重要です。しかし、それだけを前面に押し出して、他の点を度外視して採用しようとする「やる気搾取」の企業に対しては、疑問を持たざるをえません。
私はこの意見↓に同意です。
「ベンチャーだからこれだけしか給与出せませんけどよろしくお願いします!」→年収400万より
「ベンチャーだけど、リスクを取って転職してきてくれるあなたにこれだけ用意しました!」→年収1000万のほうが日本語としては論理的だと思うんだが🤔— inst石野🎣ブログマーケター社長 (@ishiko618) September 24, 2017
ケース3:依頼したいことが明確になっていない
この1年の間に、「これから人事部門(業務)に力を入れていきたい」というスタートアップ企業とも接点を持つ機会が何度かありました。会社によって内容は異なりますが、その時点で認識されている課題を話していただけることも結構ありました。そして、そのたいていのことは、(人事関係のことなので)今の私ならばいろいろとお役立ちできることが、必ずいくつか含まれています。
しかし、現時点に至るまで、それが何らかの形で仕事となることはありませんでした。(←これは今後の私の課題です)その背景として、「何を依頼すればいいのかわからない」ので、判断できないということがあると思っています。また、そういう状況なので、「週5常駐勤務。できれば業務委託ではなく正社員。でも給与はマーケットよりだいぶ低い」という、高いリスクをこちらに飲み込ませようとします。
「採用を何とかしたい」「人事を立ち上げたい」というのは、依頼事項としては成り立っていません。レストランに入って、「何か食べたいけど、何がいいのかはわからない。とにかく自分にとって満足度が高いと思うものを正確に予想したうえで、何か食事をもってきてくれ」と注文しているようなものです(笑)。
ケース4:今じゃない、と認識している
企業を立ち上げて3人までならば、とにかく話すことで何とか対応(解決)はできると思いますが、4人以上になったら「組織」としてとらえて仕組みを作ったりすることが必要です。20名近くになって、創業者(社長)の直接の知り合いだけではなく、何の接点もなかった方々を何名か採用して受け入れる段階になってから、「外部から社員を採用するためには何をすればよいのか」「業績評価や給与体系はどうすればよいのか」ということを考えはじめるのではちょっと遅いのです。
そのため、10数名の会社に対して「評価制度の大切さ」を話したところ、それに賛同を示しつつも、結局は「自分たちにとっては時期尚早」と言うのは、完全にタイミングを逸してるのです・・・。
何が必要かを分析・提案します(=低リスク投資)
「要件がある程度明確な会社」だけをターゲットにして、事業を進めることもできます。しかし、それ以外の「オポチュニティー開拓」もしていく必要もあるでしょう。その一方で、「人事の立ち上げは必要。でも、正直何を依頼してよいのかわからない。とにかく、何かあった時のことも考慮して常に在籍(席)してほしい」という、そのままでは解決できない状況に、何らかの解決策というか歩み寄り策を提示します。
いきなり、「人事担当者」としてフルタイム勤務契約を締結したとしても、双方に合う合わないといったリスクもあります。その点、個別コンサルティングならば価格面も「お試し」の要素もありますので、低リスクの投資とも言えるでしょう。
仮に「人事スタートアップキット」のようなパッケージを作ったとしても、状況やニーズから各社によって必要なものは異なり、結果的に個別にカスタマイズすることになると思います。それならば、実際にどんな状況なのか、具体的な課題やその環境を伺ったうえでの解決策を個別コンサルティングを通して一緒に考えられればと思います。最初から数回っていうのは・・・という場合は、「1回」からスタートして、その後継続するのかどうかをご検討いただければよいでしょう。
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