本日(3/22)、「@人事」様にて2本目のコラム記事を掲載していただきました。内容は「研修プログラムのローカライズでおさえておきたいポイント」をテーマとしています。
ここでは「研修」にフォーカスを当てておりますが、人事制度プログラムのローカライズは研修に限ったことではありません。外資系企業だと、結構いろいろな業務にローカライズは関わってくるでしょう。そこで、「@人事」の記事に関連して、「ローカライズ」について思うところを記載します。
機械翻訳だと読まれない
研修プログラム以外にどのようなものをローカライズしたことがあったかを思い起こしてみました。いろいろとあるのですが、私がたずさわったもので、特に時間と手間を要したものは以下の2つです。
- 行動規範
- コンピテンシー
これらは単なる日本語訳ではなく、中身がどういったものなのかといったことを腹落ちした上での「意訳」ができなければ社員が読んでも理解ができないと思います。機械翻訳っぽいものだと、仮にそれが必要なものだとしても、どうしても読むのを避けがちになるでしょう。
なぜなら、読んだとしてもよく理解できないから。
その一方で、例えばコンピテンシーは人事評価の中で使われていたので、これが何なのかが共有できないと、評価制度そのものが成り立たなくなってしまうことにつながります。そのため、外国語(たいていは英語)を理解するだけではなく、それを適切な日本語に「意訳」することが発生します。
ローカライズに欠かせないプルーフリーディング
ローカライズで重要なポイントは翻訳の「質」ではないかと思います。翻訳については、「@人事」で私が記載した記事内で言及しているので引用いたします。
ボリュームが少なければ、担当者が翻訳した方が良いでしょう。担当者ならば単純な翻訳ではなく、研修プログラムの本質や意味合いを考慮した「意訳」をすることが可能だからです。時間的制約がある、あるいは、ボリュームがとても多い場合は、翻訳会社にて翻訳してもらったうえで、翻訳された日本語のプルーフリーディングを行う方がよいでしょう。この場合、翻訳会社から納品された翻訳文書はどうしても直訳的なものになってしまいます。そのため、それを確認しながら、社内共通用語を用いて意訳する必要があります。社内共通用語とは、例えば、「部署」のことを「領域/部門」と表記するなど、社内の事情に精通していないとあてはめにくい用語や、社内で通用している単語のことを指します。
出典:「@人事:研修プログラムの「ローカライズ」で押さえておきたいポイント」
プルーフリーディングは社内事情・環境を掌握している方が行なわないと、それを行う意味がなくなるため、これを外部委託するのは難しいでしょう。
実際のプルーフリーディングの例としては、このようなものです。「こなれた」日本語にするために、原文にも立ち返る必要もあります・・・。
また、出来上がったものを複数の方に読んでもらってフィードバックをもらうとよいでしょう。特に人事部門には属していない社員で、そういった「ちょっとしたこと」に対して協力的な方がいらっしゃれば適任です。一読して、何をいわんとしているのかが伝われば、それで適切な品質を保っていると判断して良いでしょう。
「自分が源泉」を身をもって実感した
完了したということだけではなく、それによってどんな成果・効果があったのかということを本社にフィードバックすることで、次の改善につながります。ローカルでは当たり前と思っていることが、本社では全く認識されていなかったり、軽視されていることがあります。その辺を「本社は理解していない」と切り捨てるのではなく、まずは伝えてみるというのが最初かと思います。
「自分が源泉」という言葉があります。「どんなことも自分から物事が始まっている」と考え、何事も自分次第であるととらえることです。リーダーシップ論の中で取り上げられることが多いです。
困難はその人に起こるべくして起こるのです。そのとき、それを創り出しているのは自分であると考えてみるのが「自分が源泉」の考え方です。
「自分が源泉」という考え方は、私にとっては、ローカライズとそれに伴う海外本社とのコミュニケーションという出来事を通して「腹落ち」しました。すべての結果は、自分がつくり出しているという物事の捉え方をしてみたらどうでしょう?自分でつくりあげたものならば、自分次第で変えることができます。少なくとも、そう思って具体的に行動をとることで、何かが変わるきっかけになります。