人事業務にて使用しているシステム(いわゆるHR Tech)は、人事部門だけが使用するものではなく何らかの形で全社員が使用していることが多いです。いわば全社員に関係するものといっても過言ではありません。その人事システムにおいて、減価償却が終了した、現バージョンのサポート期限が切れそう・・・といった外的要因や、「使いづらくて社員からも不満が出ている」「XXができなくて不便」といった理由からシステムの刷新を検討している企業も多いと思います。
今回は人事システムを見直す際に、留意した方がよいことについて取り上げます。
なぜ人事システムを刷新したいのかを明確にする
「なぜ刷新するのか」ということが不明瞭であったり、関係者間でも認識が大きく異なっているケースはよくあります。「現バージョンのサポートがもうすぐ終了する」のはきっかけであっただけで、極論をいえば、(その製品が廃版になるわけではないならば)バージョンアップすれば済みます。
どんな理由であっても構いませんが、「XXのために(YYだから)、人事システムを刷新することにした」ということは関係者間で共有の認識をもっていたほうがよいです。なぜなら、新たなシステムを選定しているときに、「あれかこれのどちらか」を選択しなければいけない、「費用が予想以上にかかる」など、自分たちにとって「心地よくない」状況がおとずれた時に、「なぜ刷新するのか」が明確ではないと、取捨選択ができなくなるからです。
「なぜ刷新するのか」を突き詰めた結果、人事システムを刷新することではない違う方法(既存システムを拡張する、業務プロセスや制度改革を推進するなど)を選択した方がよいことも十分にあり得ます。
譲れない条件は何か、何をしたいのかを明確にする
いわゆる「選定のための要件」です。「現行システムで行っていることが継続してできればよい」「これは外せない」といったことや、それぞれの要件の優先度合いは企業によって異なります。
要件は多ければよいというものではなく、選定するための基準・杓子として使用するので、「どこまで深く検討したいのか」によって変動します。
実務担当者の参加要否は状況による
「実務は担当していないので、メンバーに確認しないと判断できない」という趣旨のコメントをされるマネージャー以上の方に、よく遭遇します。もちろん、それは事実だろうと思いますが、それならば実務担当者にヒアリングを何度かすればインプットとして十分なのに、実務担当者を選定担当者(場合によっては責任者)にアサインするケースがあります。
人事システム選定は、「業務プロセスの改善」「担当者にとって使いやすいのか」も重要な選定ポイントの一つではあります。しかし、実務担当者は、人事システム刷新時点の担当者であったにすぎず、未来永劫その業務を担うわけでは無いでしょう。「ある一時期、その業務を担当していた個人の見解」にすぎない可能性があります。また、自分の担当業務に直接かかわりすぎる事案のため、全体最適、すなわち「その会社にとってあるべき人事システム像」を描きながらシステム選定にたずさわるには、現時点では不適格である可能性もあります。
「スキル・経験」が適切かどうかの基準は、担当業務および使用しているシステムにおける問題点と(具現化できるかどうかはともかく)対策案が独力で抽出・一覧化できるかどうかだと思います。
購買部門を適切なタイミングで巻き込む
どんな人事システムを選ぶのかは、人事部門とIT部門が主管となって行うことがほとんどです。ベンダーとの打ち合わせも何度か重ねて、これにしよう!と内々で決めたものの、購買部門から「費用が高すぎる」と物言いが入り最終確定ができなくなった、あるいは、購買部門からの諸々の状況を度外視した一方的な値引き要求に対応することが難しくなり、ベンダー側から辞退されることがあります。
そのため、購買部門が社内で意見が強い企業においては、人事システム選定の早い段階から選定メンバーに加わってもらい、むしろ社内調整を担ってもらうようにしましょう。突然、「これを買うことにしたからよろしく」と言われるから色々と問題が発生することが多いので、最初から「適切な購買プロセスに則って対応したいので、協力して」というトーンで臨めば、順当に進めることができるでしょう。
一緒に考えましょう!
人事システムを見直す際に留意した方がよい点について取り上げました。この記事を読んだだけで独力で対応できるとは思えない・・・という方は、サービスメニューも参考にして下さい。また、どうすればよいのか改めて相談に乗ってほしいという場合は、お問い合わせください。