人事スタッフの実名による情報発信が増えているのはよいこと。その一方で認識すべきこととは・・・

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この記事を書いた人
Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

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ここ2、3年くらいのことだと思いますが、TwitterやFacebookなどのSNSやブログサイトで実名かつ顔写真を掲載して情報を発信している人事担当者は増えてきていると思います。

そこで発信する内容は、プライベートなことだけではなく、会社における人事施策の紹介やそれに対する見解や解説など多岐にわたっています。この流れそのものは良いことだと思っていますが、会社そのものの存在をブランドと位置づけた時に、かえってリスクになることもあります。

自分のケースを紹介しつつ、そういったリスクをどう回避しつつ、適切な情報発信ができるのかという意見を記載したいと思います。

対外的なイメージは全てを予測できない

独立するタイミングにあわせて、このサイトを2016年7月に開設してから2年以上経過しました。独立した時点では個人事業主だったので、どちらかといえば、「自分の意見を発信して世の中に知ってもらう」ための場という位置づけです。もちろん、今でもその位置づけは変わっていませんが、現在は法人化したことによって、「会社のWabサイト」という役割も担っています。

事業会社で勤務していた頃(2007年~2016年)には、いわゆる「ブログブーム」があったので、私も何かしらブログを開設して、自分の人事に関する意見などを発信したいと思ったことは何度かありました。ただ、人事という立場だったので、「社員がそれを読んだ時に、どうとらえるのか」「これが会社の意見として世の中に伝わってしまったら・・・」といった自分では制御できない部分に、若干の不安もあったので控えていました。

フリーランスだと自由に発信できることが何より。「転職ステーション」にコラムを掲載してもらいはじめました
9月から仕事をはじめてからまだ数日しか経過しておりませんが、個別コンサルティングを行ったり、少しずつ動いているなという感じはあります。それこそ、デスク一つだけのオフィスもいらないくらい何もなかったらど.....

人事部門は経営側の部門だという認識もあったので、何を発信してよいのか/避けた方がよいのかということは、自分で判断できると思います。ただ、言葉の選び方を留意したとしても、それを受け取った人の反応について、予測しきれない部分もあると思います。それによって、自分自身にあれこれ言われるのは、自己責任でしょう。しかし、所属している会社のイメージ、すなわち企業ブランドにマイナスな影響を及ぼすようなことになってしまったら・・・と思うと二の足をふんでいました。

所属していた会社の性質上、人一倍「ブランド」について気にしていたということもありました

独立した今となっては、全て自己責任で対処すればよいので、自分の意見を発信することで「知ってもらう」ための手段として、このサイトやSNS(TwitterFacebook)を有効活用しています。

実名による情報発信のメリット・デメリット

私自身のケースは上記のとおりです。それでは、一般的に人事部門の方が実名でSNSやブログサイトで情報発信をすることのメリット・デメリットについて、私見を述べたいと思います。

前提として、これは「どちらが良い」というわけではなく、また、「(自分と)反対の行動をとっている人はおかしい」というものでもありません。

実名のメリット

実名による情報発信のメリットとして真っ先にあげられるのは、「自分のメッセージ/考えを社内だけではなく、社外にも伝えられるツール」を持つことによって、「(発信している人を通して)所属している会社に対しても関心を持ってもらえる、あるいは、強力なファンになってくれる」きっかけがつくれることでしょう。公開できる範囲でプライベートなことなども発信していると、「性格や人間性、考え方」といったこともわかるので、それによって社内外でポジティブな影響を及ぼすことができるかもしれません。

「どこの誰なのか」が明確になっている状況下で、「自分の意見」として言うことができます。自己開示ができるということです。

また、「XX社人事部門のYYさん」という知名度もあがるので、それによるコミュニティーの広がりも期待できるでしょう。拡げてどうするのか?は、人それぞれですが、他社の方に対して、「こういう人事の方がいるところで働きたい」と思わせるきっかけを与えるかもしれないでしょう。

実名のデメリット

一方、デメリットとしては、発信内容によっては発信者だけではなく、所属する会社そのものにネガティブな影響を与えてしまう可能性があります。転職して早々とTwitter上で炎上された方もいらっしゃったかと(笑)・・・。発信内容・タイミングなどによっては、会社のブランドイメージや売り上げなどにとって、マイナスになるかもしれません。マイナスどころか、法令違反のケースも出てくるかもしれません。

また、会社が戦略として行っているマーケティング/採用活動やブランドイメージと異なる言動であった場合は、内容に関係なく、会社にとってはネガティブな存在となるかもしれません。

匿名のメリット

匿名の場合でも、意見などを発信することはできます。さらに、あくまでも個人としての見解にとどめることができます。仮に何かしらのトラブルが発生した場合、所属会社には基本的には影響を及ぼさない、すなわち、インターネット内でのトラブルにとどめられます(といっても、かなり広範囲になるでしょう)。

実名の時よりも、より踏み込んだ内容について情報発信することも可能となるかもしれません。多少、実名よりもリスクが低い分、本音が出しやすい環境とも言えるでしょう。

匿名のデメリット

正直、匿名にしていることによるデメリットが思いつきません。強いて言えば、何かしらポジティブなインパクトを与えるような発信があったとしても、それが自社であることが自分以外はわかりにくい(あるいは全くわからない)ことではないかと思います。ただ、そういったことは広報部門が運営するオフィシャルアカウントで発信すればすむことでしょう。

人事が発するメッセージの重さは認識しよう

SNSやブログといったネット上の情報は、誰もがアクセスできるのが便利な点です。しかし、その一部分だけが独り歩きして、自分が想定しない(どちらかといえばマイナスな)反響を呼び起こしてしまう可能性もゼロではありません。その際、自分だけではなく、所属会社にも迷惑をかけることになるのは留意しましょう。

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人事部門は社員のキャリアだけではなく、人生そのものにも影響を与えることが他の部門よりもより高い可能性をもっています。そのため、「それを受け取る多数の社内外の方々」が存在していることも常に認識しているべきだと思います。

どちらがよい、悪いということではないので、「実名の人事スタッフから対外的に発信することが適切」なわけでも、「実名の人事スタッフからの発信がないのは時代遅れ/会社として微妙」ということではありません。単なる選択・戦略の違いです。その辺の違いもわからず、周囲がやっている、あるいは承認欲求を満たすためだけに取り組んだ結果、何らかのトラブルを引き起こすほうがよほど問題でしょう。

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