HR Technology Conferenceの変化と今後の展望

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Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

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9月にラスベガスで開催されるHR Technology Conferenceは、HR Techにおける最大級のイベントとして、多くの専門家や企業が集まる場となっています。私も、2018年および2022年の2回参加した経験があります。今年のカンファレンスに関する情報は既に公式サイトに掲載されており、それを確認した限りですが、これまでとは異なる点がいくつか見られるように感じました。特に注目すべきはセッション数の減少、開催期間の短縮、そして「HR Tech Investor Summit」の新設(昨年からの継続)です。これらの変更は、カンファレンスの性質にどのような影響を与えるのでしょうか?

あくまでも私見です

3つの変化

昨年(2023年)および今年から、私が認識しているだけで3つの変化が見られます。

セッション数の減少:その背景と意図

過去のHR Technology Conferenceでは、多岐にわたるカテゴリーのセッションが数多く開催されていました。例えば、2018年は「Workplace Innovation」など11種類のカテゴリーセッションがありました。

しかし、今年のカンファレンスでは、そういったカテゴリーそのものが無く、かつ、セッション数が大幅に減少しています。これは単にセッションの数が減ったというだけでなく、カンファレンス全体の方向性の変化を示唆しているのではないでしょうか?

セッション数の減少は選択肢が減る一方で、各セッションの質を高めることに焦点を当てているのかもしれません。また、セッション参加以外にExpo(展示場)への訪問や参加者同士のコミュニケーションをはかることを、イベントの中心にしようとしているのではないかと考えられます。

開催期間の短縮:効率化と集中の狙い

今年のカンファレンスでは、開催期間が昨年までの3.5日間(4日目は昼で終了)から3日間に短縮されました。参加者の時間やリソースの効率的な利用を考慮したものと理解しています。

確かに、最終日の最後の時間帯にクロージングセッションを行って「全体の締め」を明確に演出しているATD-ICEとは異なり、4日目はグダグダで何となく終わってしまったという感じは少なからずあった・・・。

この期間短縮は、セッションの質の向上とともに、ネットワーキングやビジネスマッチングの機会を最大化するための施策とも読み取れます。短期間で多くの価値を提供することにより、参加者の満足度を高める狙いがあると考えられます。

HR Tech Investor Summitの新設:2023年からの試み

2023年から始まった「HR Tech Investor Summit」は、今年も引き続き開催されます。このサミットは、投資家とHR Tech関連のスタートアップ企業とのマッチング機会を提供することを目的としているようです。これにより、スタートアップ企業は自分たちの技術やアイデアを直接投資家にアピールすることができるため、資金調達の機会が広がります。

過年度から実施されている「Pitchfest」も上記の目的と同じだと認識しています。

新たな方向性

セッション数の減少、開催期間の短縮、そしてHR Tech Investor Summitの新設は、HR Technology Conferenceの性質に大きな変化をもたらしていると考えています。従来の情報収集やネットワーキングの場から、その要素は維持しつつも、より具体的なビジネスチャンスを提供する場へとシフトしているではないでしょうか?この変化は、HRテクノロジー業界全体の成熟と進化を反映しているとも言えます。

特に、スタートアップ企業にとっては、このカンファレンスが単なる展示の場ではなく、実際のビジネスを進展させるための重要な機会となります。投資家とのマッチングを通じて、革新的なアイデアが実際のビジネスとして実現される可能性が高まります。

今後の展望

HR Technology Conferenceは、知見や事例の共有だけではなく、よりビジネス志向の強いイベントへと進化しているのかもしれません。春にオンラインカンファレンスが開催されていたので、知見や事例の共有に関しては、オンラインカンファレンスにてフォーカスする一方、秋のインパーソンのカンファレンスは、少し位置づけを変えてきているのかもしれません。

今後もこのカンファレンスがどのように進化し、HRテクノロジー業界にどのような影響を与えるのか注目されます。この変化を参加者は前向きに捉え、このカンファレンスへの出席機会や、そこで得たことをどのように活かすのかを考慮した上で参加した方が、より充実したものになるかと思います。

私自身は今年は参加を見送るため、参加される方はどんな様子だったのがSNSなどで発信してもらえるとうれしいです。ご連絡ください!


HR Technology Conferenceについてリリースした過去記事を1つのカテゴリーとしてまとめています

  • サムネイル画像は2022年に参加した際に撮ったものです
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