前回、人事評価制度を導入しようと思った時に何を検討すべきなのかということをテーマとした記事をリリースしました。
人事評価制度に関する「困りごと」としては、「評価制度は見よう見まねで作成したものの、それを活用できていない」というケースもありました。あるいは、色々と試行錯誤して作った結果、「人事評価制度と他の人事制度(等級制度や報酬制度)とのつながりが見えない(あるいは非常にわかりにくい)」といったことも見受けられました。
今回は評価結果の反映方法について取り上げたいと思います。
最終評定を設けるかどうかを決める
これは人事評価制度の設計の中で決定することかもしれません。最終評定を設けない=ノーレイティングと言えます。すなわち、最終評定もとに処遇を決めることではなく、業務の振り返りやフィードバックを短期間で行い、その積み重ねによって処遇(昇降給・昇降格・賞与支給額など)を決めることです。
継続的に上司と部下が面談をして目標に向けた達成度を確認し、評価の参考にする。昇給、賞与の金額は上司が決める。ランキングに応じた昇給割合や賞与金額が決められていないため、上司は昇給、減給となった場合の評価理由を明確に説明できなければならない。また、上司は会社から与えられた原資を昇給、賞与として部下に振り分けるため、部下の成長点や改善点を正確に把握する必要がある。
最終評定を設けるならば、「4段階か5段階の評点」あるいは「%や点数などによる達成度を表現する」のかいずれかになるでしょう。
最終評定の基準を決める
仮に最終評定が4段階の評点だとした場合、その4段階の基準は文章にしたうえで、社員にも事前に公開しておきましょう。どういう基準で評価しているのかがわからない、上司の感覚で評価をしているのではないか?という社員の漠然とした不安は払しょくしておく必要があります。
例えば以下のように、評点ごとの定義を設けるとよいでしょう。
- A:本来の役割の期待値を大幅に上回るパフォーマンス(100の期待に対して120の成果があった)
- B:本来の役割の期待値と同等のフォーマンス(100の期待に対して100前後の成果があった)
- C:本来の役割の期待値を下回るパフォーマンス(100の期待に対して80の成果があった)
- D:本来の役割の期待値を大幅に下回るパフォーマンス(100の期待に対して50の成果があった)
人事評価結果(最終評定)をどのように活用するのかを決める
人事評価結果を「何に」反映させるのかを決めましょう。評価は行ったが、それが何にも影響しないというならば、全く意味は無いでしょう。制度そのものが形骸化していくのが目に見えています。
【例1】人事評価結果(最終評定)にてすべての処遇を行う。
- 最終評点がSだった場合、賞与は想定賞与の10%増し、昇給は3ステップあげ、昇格対象とする。
- 最終評点がAだった場合、賞与は想定賞与の5%増し、昇給は2ステップあげ、2期連続A以上ならば昇格対象にする。
【例2】反映先を分ける。(具体的に検討したい場合の問い合わせ先・費用感)
- 賞与:目標管理など業績/成果評価に基づいて決定する
- 昇降給:コンピテンシーなどスキル評価結果に基づいて昇降給のレンジを決定する
- 昇降格:最終評定を参考に昇降格者を決定する
これは何が正しい・間違っているというものではなく、評価結果を何に反映させたいのかという会社による考えを具現化したものです。また、一度決めたら変えられないというものではありません。企業の成長や変化に応じて変化させることは問題ありません。ただし、必ず、その期が始まる前に周知させましょう。後出しじゃんけんは、NGです。
降給・降格要件は設ける
昇給・昇格の基準を検討する際に、降給・降格要件もあわせて検討しましょう。現実に発生しない可能性が高いとしても、「一度昇給・昇格したら下がることは無い」という制度は、後々に良い影響があるとはいえません。また、降給・降格の事象が発生した場合に、その制度がそもそも存在していないと「基準の後出し」になってしまいます。
一緒に考えましょう!
人事評価制度を導入するだけではなく、その結果をどのように反映させるのかということに関してイメージがついたでしょうか?でも、この記事を読んだだけで独力で設計できるとは思えない・・・という方は、サービスメニューも参考にしていただくか、お問い合わせください!