プロジェクト(システム導入や制度設計など)を進めていると、どうしても「要件定義」「機能検証」といった、テクニカルな要素が目立つところを重視しがちです。しかし、本当に必要かつ欠かせない要素は「関係者に対する展開時のコミュニケーション」だと思います。これを疎かにするとロクなことがないので、何を行えばよいのかを記載します。
これが、どこかのプロジェクト推進の役にたちますように。
コミュニケーションプランの作成
「コミュニケーション」の指すものは、(一昔前に)よく言われていた「チェンジマネジメント」として実行されていたものに含まれると認識しています。
「チェンジマネジメント」とは企業の変革を成功に導くために、組織に変化を受け入れやすくするためのマネジメント手法のことです
定義だけ読むと難しく感じますが、「誰がいつまでにどういう状態」になっているのかを考慮した上で、相手に必要事項を伝えた上で、それを理解・行動してもらうことです。
当然そこには、時間軸やツールもかかわってきます。サービスイン(本稼働)時点でどうなっていればよいのかを起点として、そのためには「何が必要なのか」「何ができている状況ではないといけないのか」といったことを考慮してプランニングするのが、コミュニケーションプランです。
リソースの検討
「どのくらいの工数がかかるのか」と「それに関われる人はどのくらいいるのか」という需給バランスを考慮する必要があります。
具体的には、機能検証しつつマニュアルをつくっているのはいつまでなのか、XX月からユーザートレーニングを行うと仮置きし、その準備に半月かかるとした場合、いつから着手しないといけないのか・・・といったことです。
タスクとして洗い出してガントチャートをつくれば前後関係は整理できるでしょう。また、backlogやTrelloなど便利なツールも存在しているので、エクセルシートで逐一作成する必要もないでしょう。
ドキュメントなどコンテンツの作成
コミュニケーションツール、すなわちコンテンツはマニュアルのような文書や動画といったものが考えられます。こういったコンテンツは、「誰に対して、いつ、どういう目的」で使うものなのかをしっかり定義しないと、何とも言えない「ふわふわ」したものになります。対象者によっては記載必要(不要)な内容があります。ターゲットが明確ではないと、何事もうまくいかないでしょう。これも同じです。
「あれば安心なのでとりあえずつくっておきたい」という不安な気持ちからくる「とりあえず感」は、心情としては理解できます。しかし、それ以前に「なぜ」「どういう目的」なのかが明確なはずで、それが明確でないならば、そもそも不要だと考えてよいです。
プロジェクトは時間的制約や人員的制限があることがほとんどです。そのため、取捨選択が求められるからです。
トレーニング・説明会の実施
マニュアルの掲載だけで完了するケースもあれば、オンライン/オフラインでトレーニングや説明会を何度か実施するケースもあると思います。
トレーニングや説明会のための資料やファシリテーターは、プロジェクト参加者が行うことが多いでしょう。しかし、トレーニングや説明会の企画やアレンジといったことは、プロジェクトメンバー以外でも対応できるケースが多いです。具体的には研修部門・担当者に、協力してもらうことも可能です。該当のタスクをプロジェクトメンバーで負担するべきなのか、プロジェクトメンバー外の方にも協力をあおぐべきかどうかは、上述した「リソースの検討」の中で行うべきことでしょう。
場当たり的な進め方は結局自滅
とにかく時間が無いし、逼迫しているから進めなければいけない、と焦る気持ちもわかりますが、場当たり的な行動はたいてい自滅します。そのため、いったん冷静になって、「いつまでにどういう状況になっていればよいのか」をイメージしてみましょう。そして、それを実現させるには、何をすればよいのかを洗い出すという作業は、プロジェクトの後半の「展開」フェーズでは必須のタスクです。
「直接プロジェクトに関わっていないものの、何らかの影響を受ける人たち」というのは一定数いるかと思います。そういった方々に対しては、まだ詳細が決まっていない段階であっても頭出しだけしておく、定期的に同じことを伝えておく、といったことで、「そんなことは聞いていない」感を極限まで低くすることができます。お勧めです。