【ATD24】新しいテクノロジーを目的に応じて評価・導入することが求められている

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Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

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ATD24で参加したセッションの中で、気づきを得た・共有したいと思った点についてあげていきたいと思います。

L&Dの分野では、新しいテクノロジーの導入が業務効率性や従業員のスキル向上に直結する重要な要素となっています。このような状況下で、企業の中で新しいテクノロジーを目的に応じて評価し導入する役割が、L&Dプロフェッショナルにとってますます重要となっています。

新しいテクノロジーに対する見解

マイクロラーニングやパーソナライズラーニング、VR/AR技術などの新しいテクノロジーは、社員の学習体験を豊かにし、効果的なスキル獲得に役立ちます。また、AIの活用により、学習プロセスの最適化や個別ニーズへの対応が可能となります。これらのテクノロジーを適切に活用することで、企業は競争力を高め、社員の成長を促進することができます。

5月19日のセッション、「Exploring the Opportunities of the New Learning Technology Landscape」では、L&Dに関連する新しいテクノロジーに対するスピーカーの見解が、以下のように述べられていました。

LXP(Learning Experience Platform)

学習プラットフォームやシステムの進歩によって多くの機能が提供されるようになっている。しかし、組織はこれらの新しいプラットフォームによって、現行業務を「再現」させるだけにとどめず、学習戦略を強化するためにどのように活用するかを考えるべき。

マイクロラーニング

業務遂行中に発生したパフォーマンスの問題を、最も混乱を引き起こさない方法で解決することに焦点を当てるべき。「マイクロラーニングはXX分以内のコンテンツであるべき」といった「定義」についてあれこれディスカッションすることは本質ではない。

パーソナライズラーニング(Personalized Learning)

明確な定義がなく、理解が一致していない。現状の取り組みは興味関心のマッチングやキャリアパス指導(表示)にとどまり、真のパーソナライズされた学習環境とは異なる(≠Netflix)ユーザーのコンピテンシーやスキルを理解した上で、それらを高めるための適切なサポートと機会を提供することがパーソナライズラーニングであり、単に興味に基づいたコンテンツをプッシュすることではない。

Mixed Learning(VR/AR)

VRはリスクの高いタスクを練習するのに有効で、ARを使えばリアルタイムのパフォーマンスサポートが可能となる。新たな選択肢が増えただけで、集合研修やE-Learningが淘汰されるわけではない。

AI

AIを使うことにさらに焦点を当てる必要がある。

他のセッションでは、AIに関するスキル(AIリテラシー)を定義した上で、そういったスキルの育成にL&Dプロフェッショナルが積極的に関与(というよりリード)すべきであるといったことに言及されていました。

ハイブリッドラーニング

まだ進化し続けている段階にある。オフィスと在宅勤務のバランス調整が難しく、個人差が大きいことに注意が必要。

全体的に「何でも鵜吞みにせずに精査すべき」というトーンだったなと感じました。

L&Dプロフェッショナルの役割

L&Dプロフェッショナルは、新しいテクノロジーの評価と導入において中心的な役割を果たします。そのため、最新の学習テクノロジーのトレンドや可能性を常に把握し、組織のニーズに合ったテクノロジーを選定・導入する責任があります。

前述の「新しいテクノロジーに対する見解」などの内容を掌握した上で、自社の課題解決にどのように役立つのか、あるいは、そういったものではないのかといったことを検討・判断することが求められていると思います。

また、テクノロジー導入の際には、社員の学習ニーズや組織戦略に沿った計画を策定し、効果的なトレーニングプログラムを構築する必要があります。

5月20日のセッション、「A Strategic Approach From Tech Pilot to a Full Rollout」では、新しいテクノロジーを調査・選定・導入する際に使用するフレームワークについて学ぶことができました。

新しいテクノロジー導入のステップ

L&Dプロフェッショナルがテクノロジー導入を成功させるためのステップは以下の通りです。

  1. 小規模でのパイロットテスト実施
  2. フィードバックを集めて改善
  3. ユーザー受入テスト
  4. 小規模ロールアウト
  5. フィードバックを集めて改善
  6. 段階的な全面的ロールアウト

プロジェクトマネージメントに関して知見がある方であれば、「システムや制度の導入・展開のためのプロジェクトの進め方」そのものであることは一目瞭然でしょう。こういった関わり方が求められているのには、以下の背景があります。

  • L&Dの視点からの要件が見逃されることを防ぐ
  • (新しいテクノロジーの展開に伴う)ユーザーの学習ニーズを把握し、適切なタイミングでトレーニングコンテンツの準備をする
  • 効果測定の指標設定とデータ分析を適切なタイミングで行う
  • チェンジマネジメントとコミュニケーションプランを適切に立てて実行する

テクノロジー導入だからL&D部門・担当者には関係ないということではありません。「プロジェクトの終わりごろに急に巻き込まれても、適切なタイミングに必要なアクションが取れない」だけなので、プロジェクトの(選定が開始する)最初から主体的に関与すべきである、と話されていました。

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