来年の2月から月末の金曜日は「プレミアムフライデー」と位置づけ、早め(午後3時)に仕事を切り上げて、買い物をしたりイベントに参加したり、家族と過ごすといったことを推奨する動きがあるようです。というより、確定しております。賛否両論がありますが、私は「まずはやってみる」という意味で、政府の取り組みは適切かなと思っています。
枠組みを提示している
「プレミアムフライデー」の概要については、こちらをご参照ください。
まずはポジティブな点をあげたいと思います。何となくコンセプトを提言して、「あとは各社の自主性や状況にお任せします」ということだと、間違いなく「絵に描いた餅」となるでしょう。しかし、「毎月月末の金曜日は午後3時で勤務終了」という明確な枠組みを出すと、受け入れやすくなるし、企業によってはこういった「お達し」を拠り所として一気に推進するところもあるでしょう。
もちろん、全ての方に適用できるとは限りません。しかし、「金曜がダメだから、自分たちは木曜にする」「社員を何分割かにグルーピングして、適用曜日を決定する」など、この制度そのものに幅を持たせることができるようになっている点も良いかと思います。罰則などのペナルティーも無いので、この制度を適用する/しないという自由もあります。さらに、頻度が月に1回、半日程度という時間数の少なさもハードルを低くしています。これが定着したらもう少し枠を広げていくことも検討すればよいかと思います。
全く蚊帳の外になる企業(職種)も想定される
一方、懸念される点についてです。これは、揚げ足取りのようにいくつかのニュース記事なども展開されております(笑)。最も考えられるのは、「そもそも、全く適用されない企業(職種)が出てくる可能性がある」ということです。
例えば、仕事を早く切り上げて買い物に!それによって消費活動の活性化を!というと、その買い物先である小売業(ショップ、デパートなど)で勤務されている方への一斉適用は難しいことを意味しています。
また、制度を導入したとしても「そもそも仕事が多すぎて休めない」という意見もあるようです。現時点ですぐに休みにできる(=仕事の調整がつく)ならば、「今までは必要以上に時間をかけてダラダラやっていました」ということを意味するのではないかと(笑)。私からすれば、これは働き方の改革にも連動するもので、仕事のやり方などを見直すいいきっかけだと思います。
こういった取り組みが無かったら無かったで、文句は言うはず
今回、政府からこういった提言がされて、ロゴマークまで作って展開しようとしています。仮にこのような動きがなかったとしたら、「民間で何かをやろうとしても限度があるから、政府(や国)が主導すべきだ」と声高にさけぶ人もいると推測します。そして、そういうことを言う人は、今回何らかの懸念点を声高に言った人と同じである確率は高いと(勝手に)断定しています。
要するに、どちらにしても文句を言う輩というのは一定割合は存在していると、割り切った方がよいと思っています。よくいるんです。自分では何も行動しない(できない)のに、とにかく目の前にあるものについて、これみよがしに批判だけする人。
今回の件は、まずは行動してみて、その結果や影響度合いをふまえてどうするのかを検討する→修正してより良いものにしていく・・・というレベルの話だと思っています。もちろん、事前の検証や予測できる問題点に対する想定というのは、重要なことです。しかし、そこで「100%」になるまで実行することをとどまっていては、何も進みません。実際にやってみたら、それが「100%」ではなかったことに初めて気づくこともあるかもしれません。変な「完璧主義」は、たいてい物事の進展を遅らせるだけで、何も良い方向には進まないでしょう。
既に試みている会社もある
今回の件に先んじるかのように、既に似たような取り組みをしている企業もあります。
「たかが半休ですが、活用の仕方によって得られる結果は大きく変わってきます」 #日経ビジネス https://t.co/rJOEeR2yLa
— 日経ビジネス (@nikkeibusiness) December 1, 2016
こちらの会社では毎月第3金曜日を半日休みにしている=週休2.5日を実現させています。部門によっては、2つのグループにわけて「当番制」にしているとのこと。
制度を導入して1年半以上経過しており、すでに社員の中では定着しているようです。また、強制ではなく「毎月第3金曜日は半日休み」という権利を与えているだけで、それを使うかどうかは裁量にゆだねられているとのことです。平日だからできること(役所に行く、平日の安い金額で旅行するなど)に活用することができたようです。
また、社員の意識にも変化が見られたとのことです。
1つは、せっかくの半休をどう活用するかという意識。・・・もう1つは、それに向けてこの一週間の働き方をどうするかを考える意識。
半日の既に決まっている休みがあることで、それを活かすためにどうやって仕事をこなそうか、ということを前倒しして考えるようになり、それが業務効率化にもつながっていったようです。この辺は、プレミアムフライデー導入の参考になるアウトプットだと思います。