書籍やWebサイトだけではなく動画やオンライン配信と色々な手段で学ぶことができるようなり、イベントも直接現地に行かなくともオンラインで参加することが可能なものが増えてきました。人材開発・育成の内容で、「その場に行かないと学べない」ものは、今となっては限られてきているでしょう。
ATD-ICEに関しても現地参加以外に、コロナ禍をきっかけにオンライン参加の仕組みが構築され、オンライン参加の選択肢もあります。
今年(ATD23)の参加者数は全体では10000名で、そのうちオンライン参加者は1000名と全体の10%でした。やはり、現地参加で直接その空気を感じることを望んでいる人が圧倒的なのかもしれません。
今回はATDに現地参加する理由について取り上げたいと思います。(私見です)
現地で参加する理由・背景
結局、「現地に行った方が楽しいし学びになる」ということに尽きるのですが、もう少し分解してみます。
時差
セッションのライブ配信もありますが、アメリカだと時期やエリアによりますが、12時間~16時間くらいの時差があります。そのため、たいていが日本時間の真夜中から朝方にかけて開催されます。これを、日本から数日連続でリアルタイムで観るのは、なかなか難しいです。昼間は仕事もあるとしたら、なおさら・・・。
時間・意思
オンデマンドセッションも1つ2つならともかく、100以上もあるコンテンツから自分が観たいものを探して→時間をつくって観るには、それなりに強い意思が必要であることをここ数年で学びました。コロナ禍で現地で参加できない、あるいはオンラインのみでの開催のため、オンラインによるカンファレンス参加が続いたことでわかったことです。
熱量
「わざわざ来たからには何かを学び取ろう」という熱量が、現地参加者はとても強いものがあります。特に会社から派遣されている方は、帰国後に、結構大型な「報告会」を行うケースが多いので、この辺はヒシヒシと感じます。
再確認
やっぱりこれは重要だよなと改めて認識することがあります。知っていることを何度も聞くことで、「これは外してはいけない」と確認できます。また、「これは全く知らなかった」ということもゼロではないので、まだまだ「バージョンアップ」が必要であることを知ることになります。
語学も同様です。「英語で言いたいことが言えて、話したいことが話せる」状況からはまだ遠いことを、(何度も)確認することで、学びのモチベーションになっています。
共有
一緒に参加するラーニングチームの存在は大きいと思います。その日、自分がどんなセッションに出たのか、そこで何を感じたのか・学んだのかを毎晩共有することで、自分自身の考えが「整って」くるし、他の人がどんなことに関心をもっているのか・感じたのかを知ることによって、新たな気づきが得られます。
雰囲気
イベントとして楽しみながら、参加者がそれぞれの視点で学ぼうとする雰囲気は、そこに身を置くだけで心地よいものだと思います。オンラインだと、ログアウトすればすぐに現実に戻れる一方、「空気感」を味わうのは難しいということは、自分自身もオンラインカンファレンスに参加して何度も実感しました。
コンサートやスポーツ観戦との共通性
上記のように、自分なりの「現地に行って参加しようと思う理由」をあげてみて気が付いたことがあります。「コンサートやスポーツ観戦」と同じなのかもしれない、ということです。
コンサートやスポーツ中継は、後日DVDとして販売されたり、テレビ放映されることがあります。あるいは、リアルタイムでテレビ中継やWeb配信されることもあり、その場にいなくとも同じ時間を共有することが可能です。しかし、一定数の人たちは会場に足を運び、直接見て楽しんでいます。
これと私にとってのアメリカでのカンファレンスは同じような位置づけなのかもしれません。現地に足を運んで、そこでしか得ることができない「何か」を感じたい気持ちが強いのではないかと思います。
来年(2024年)のATDはニューオーリンズで開催されます!