HR Tech Conferenceの複数セッションからわかったMicrosoft社の人事領域への動向

HR Tech Conf
この記事を書いた人
Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

ブックマーク・フォローしませんか?

4年ぶりにHR Tech Conf & Expoに参加し、先日無事に帰国しました。現地からTwitterを中心に感じたことや気づいたことを発信していましたが、セッションの内容や気づいたことを記事にしたいと思います。

事前にどのセッションに出るのかを検討していた際に、マイクロソフト社のセッションについては積極的に選択するようにしていました。2022年3月に開催された「HR Tech Virtual」というオンラインカンファレンスのJosh Bersin氏の基調講演にて「Microsoft Teamsを使用する企業が増えていることに加え、Microsoft Vivaとして知られる学習・コミュニケーションツールが急成長している」とおっしゃっていたので、実際のところどうなのか?を知りたかったからです。

マーケットで主要なプレイヤーになっている

Josh Bersin氏の登場に歓声!

Josh Bersin氏の基調講演では、マイクロソフト社の動向について言及されていました。ついに、今回の「The Disruption Never Stops: What’s New and What’s Ahead in the HR Tech Market」というタイトルの基調講演では、資料の中でマイクロソフト社に関して特化した章が設けられていたのが印象的でした。「Viva Insightsはどんな感じなのか楽しみ」「マイクロソフトは本当に市場で主要なプレーヤーになりつつあるので、彼らが何をしているかを見てみることをお勧めする」と明言していました。

今回、上記以外にマイクロソフト社の方が登壇されていた2つのセッションにも出席しました。その内容を振り返りつつ、感想も述べたいと思います。

Microsoft Vivaとは?

Microsoft VivaはMicrosoft Teamsの中で利用することができる、従業員体験(Employee Experience、EX)プラットフォームです。

従業員体験(Employee Experience、EX)とは、「従業員がその組織に所属することで得られる体験」を指します。具体的には、スキルアップや健康状態・満足度など、従業員が仕事や職場で経験できる全ての要素のことです。

出典:https://www.jbsvc.co.jp/useful/windows10/what-is-viva.html

具体的には4つの機能で構成されています。

  • Connection:すべての人に情報を提供し、仕事に取り組む際にインスピレーションを与える
  • Insight:ワークプレイス分析や社員からのフィードバックを管理する
  • Purpose:チームや組織の目標管理やOKR管理を行う
  • Growth:社員の学習、成長を支援する

ここにメールやカレンダーなどと直接統合されているので、社員は必要なときに必要なものをすぐに見つけ、アクセスすることができます。マイクロソフト社のサービスを使用している企業は多いので、マイクロソフトのテクノロジーに対する既存投資を活用できるように設計されているのは、利便性が高いと言えるでしょう。

「The Innovation Powering the New Employee Experience」セッションにおいては、Microsoft Vivaがどんなものなのか、その優位性などについて説明された後に、実際に導入している2社の方々にも登壇してもらっていました。色々なツールを導入しているものの「プラットフォーム」が無い状況下において、Microsoft Vivaは「単一の情報源を提供するニーズ」に応える適切なツールであることを、それぞれの視点でおっしゃっていました。

マイクロソフト社の考える「働き方」

「Driving Employee Engagement With Modern HR Technology」では、マイクロソフト社に15年勤務されている方が登壇し、エンゲージメントを高めるためのHR Techについて語っていました。ちなみにマイクロソフト社の社内システムには、自社製品(サービス)しか使っていないのかと思いきや、WorkdayやSuccessFactorsも導入し、APIでデータ連携させて必要な機能を使っているようです。

組織が社員のWell-beingの責任を持つ

人材確保ができる企業は、好きな場所で働ける環境を提供し、「仕事との関係性」を再構築しているとおっしゃっていました。実際、登壇されていた方も普段はオフィスではなく自宅で仕事をされているようです。

デジタルツール(例としてMicrosoft Vivaをあげていた)が助けになり、仕事そのものがギグワーク化していくたため、どこでも仕事ができるようになります。参加者の半分は会議室におり、残り半分は自宅など別の場所から参加することが当たり前になりつつあるのとのことです。

(IT部門に限らず)個々の社員が DXに貢献する

マイクロソフト社には12万ものPower Appsが存在しているが、これはIT開発者によって作られたものではなく、財務チームや人事チームなど、さまざまな部門の方々が作っているとのことです。

例えば、雇用確認のために人事部門のウェブサイトに社員がアクセスしていることがわかりました。そこで、雇用確認ボットを作成し、人事部門の負担を軽減しました。このアイデアは、マイクロソフトの技術を使って推進することができたとのことです。

Pay forwardを行うことで社員と信頼関係をつくる

Pay forwardとは「何か受けた「恩」を次の誰かへ渡していくこと」です。この発想を実践したことによって3つの学びがあったようです。

  • 社内のHRサイトにおける検索結果を分析して、HR Techの開発指針に使用し、実際に機能改善につながった
  • クイックウインを実行することで、数年間のプロジェクトにおける成果を与えることができた
  • ドライビングフォース(実行)は人だから、システムのことを考える前に社員が中心であることを意識した

ツール(ハード)を提供するだけではなく、ツールを使うための考え方や企業での働き方といったソフト面についても明確なポリシーを持った上で、ソフト・ハードの両面で実践している会社だと感じました。Excelなどマイクロソフト製品を使用している企業は多く、データ連携は「お得意」なので、これからの人事領域のツールとして着目すべきでしょう。マーケットのプレイヤーが、日本においても大きく変わる可能性があると思いました。

タイトルとURLをコピーしました