通常であればラスベガスで開催されるHR Tech Conf & Expoが、今年はコロナウィルス拡大防止のため、オンラインによる開催となったことは以前の記事でお伝えしたとおりです。そのイベントが先週開催されました。
0時からいよいよ #HRTechConf がスタート。毎日夜中から朝方まで。今回は初のオンラインで時差があるので、リアルに参加できるのは、最初と最後のセッションくらいかな。
— Nagami_Aldoni Inc. (@nagami_aldoni) October 27, 2020
時差の関係で、日本からアクセスすると夜中の0時から朝6時くらいまでという、昼夜反対の状況。その一方、昼間は普通に仕事もあるので0時から開始するKeynoteセッションだけは、毎日リアルタイムで参加しました。(11月末まではオンデマンド配信されているので、後で観ることができます。)
Josh Bersin氏の「ぶちまけ」に期待と驚愕
Josh Bersin氏による「Dealing with Disruption: How the New Normal is Shaking Up the HR Technology Market(混乱への対応:ニューノーマルがHR Techマーケットにどんな影響を及ぼしているのか)」というタイトルのKeynoteセッションは、今後のHR Techの方向性を示唆してくださったと思います。概要とそれに対する私の意見を記載します。
- アメリカでは40%の人の仕事が変わり、90%の企業が在宅勤務制度を導入していた
- ←日本でも「なし崩し的」ではあったものの、在宅勤務制度(テレワークの一つ)が導入実施されたという点は同じ。40%もの人の仕事が変わることが無いのは、雇用に対する考え方が違うからだろう。
- HR TechからWork Techに変わっていく。ライトプロダクトからライトプラットフォームへ。
- ←仕事/生活の統合に機能がフォーカスされるというご意見。適切な機能が提供されればよいだけではなく、基盤/土台として役割が求められているとのこと。
基幹HCM
- 需要が多く投資額も過去最高。他のプロバイダーと提携して自社のソリューションを統合し、HR Techプラットフォームに求められるニーズに対応できるようにするべき。
- ←理想的な意見ではある。しかし、SAPとOracleが双方に(同じ人事領域において)データ連携して補完しあうというシナリオが、現実としてはあるだろうか(笑)・・・。
- ワークフローシステムのServiceNowがHRに関与していマイクロソフトやFacebookは、HR Techマーケットにおいて無視できない存在になっている。workplaceがFacebookから出ている。
昨年5月のATDで聞いた時は、そうなん?くらいの感覚だったけど、1年数か月で状況は大きく変わったと思う。
— Nagami_Aldoni Inc. (@nagami_aldoni) October 27, 2020
タレントマネージメント
- タレントマネジメントツールは、マネージメントに対する哲学(考え方)が変わってきているので、それに呼応して変わっていく。マネージャーは(メンバーの)理解、積極的傾聴を実証する「chief empathy officers(チーフ・エンパシー・オフィサー)として活動することが期待される。
- ←スタートアップ風にいえば、「マネージャーとしてアップデート」する時期が来ているということか。
- タレントマネジメントエリアは、マーケットの中でも最も競争が激しい分野の一つ。分析データの活用や社員の声を把握し、それに耳を傾けることに対して支援できるようなものを提供している。
- ←タレントマネジメントツールを使って何をしたいのかをある程度イメージできないと、そもそも使いこなせないだろうな・・・と再確認した。
- 採用ツールは、AIが含まれたサーチツールが標準化される。
- ←AIは使い方によっては革新的なはず。どのように使うかという段階にきているはずなのに・・・(この件についてはまた別の記事で)
従業員エンゲージメント
- 従業員エンゲージメントエリアは、範囲が広く他のマーケットと関わりつつある。大量のデータを、ほぼリアルタイムで分析できるプラットフォームへと移行している。
- ←Engamentではなく、EXに”進化”とのこと。またもや新しい概念が登場。
Learning & Development
- TikTokのように必要なときに、短時間のコンテンツを提供するものになりつつある。どこでも学べるようになる。VR(virtual reality)は爆発的に普及する直前である。
- ←いわゆるマイクロラーニングのことで、これはATD-ICE(↓の記事を参照)でもテーマとなっている。もはや当たり前のものだと思う。
- 研修に関しては「capability academies(ケイパビリティ・アカデミー)」へのシフトを想定。これは、「パフォーマンスに対する課題に対する解決策」として”学習(Learning)”をとらえ、安全、マーケティング、営業など課題に特化した学習プログラムを用意することをイメージしている。
- ←”体系的研修コース”を好む日本のマーケットとは異なる考え方だが、半日や1日単位の研修ではないこういった仕組みが、当たり前になると思う。
2021年3月にもオンラインイベント開催決定
2021年9月28日からラスベガスでオフラインイベントが開催される予定だが、その半年前の3月16日~19日に、今回と同じ無料のオンラインカンファレンスが開催されるようです。
単にセッションをライブ配信するだけではなく、バーチャル展示場やオンラインデモ/商談、テーマを決めた掲示板など立場に関係なくすべての参加者との交流がオンラインでもはかれるような仕掛けはありました。
しかし、時差だけは乗り越えられない。やはり、海外カンファレンスはオフラインで参加したいなぁと思っています。