富士通の管理部門スタッフを対象にした配置転換の希望に関する記事と、それに関する所感を3ヶ月くらい前に記事としてリリースしました。
その後の状況が明らかになってきたので、内容を整理しつつ、それに対する私見を述べたいと思います。
40%以上の人員が配置転換
先日リリースされたニュースによると、5000人規模の配置転換方針に対して40%以上に相当する2000名強がそれに応じ、2850人が早期退職を選択したようです。
早期退職に伴う退職金の上乗せや、再就職支援による会計上のインパクトは相当なものでしょう。(↑の記事によると461億円の費用とのこと)ただ、それ以上に2000人以上に何らかの研修やOJTなどを実施しつつ、職種変換するというのは相当な「投資」だと思います。
単に早期退職を募るだけではなく、それなりに選択肢が与えられているというだけで、かなり体力がある会社なんだろうな・・・と推察します。
新ソフトをリリース
その一方で、新ソフトをリリースしたようです。しかも、今までの富士通の手法とは全く異なる開発手法で、かつ、既存事業と競合するものとのことです。
製造業の既存顧客の工場に行き、現場担当者の仕事の仕方を観察したり、ヒアリングしたりすることで、潜在的な課題を発見。その課題を解決するソフトのプロトタイプをつくった。プロトタイプを複数のユーザーに開示して改良すべきポイントをさらに聞き出し、それらを反映して製品化した。
ニーズを分析してそこからサービスをつくり、どんどん改善してブラッシュアップさせる・・・というのは当たり前といえばそのとおりですが、さらっと今までのやり方を変えるというのはすごい判断だと思います。どちらかといえば、「どんなに遠回りで非効率であっても、過去に成功したやり方は曲げない」というのが、「富士通っぽい」し(笑)・・・。
また、これは顧客自身でデータ分析する製品のようです。既存事業(富士通が顧客からデータを預かり、そのデータを富士通のデータサイエンティストが分析して結果を顧客にリポートするサービス)とは正反対で競合するものを展開しようとする姿勢も、良い意味で「富士通らしくない」と感じました。←あくまでも個人的なイメージです。
大掛かりな再編が秒読み?
子会社の社長と本体の役員を兼務する人事体制をとりはじめたようで、これが「子会社も含めた大規模な再編」の前準備ではないか?という予測もあるようです。
何となく、「携帯やPC事業も縮小(撤退?)して、負け組っぽい」イメージを持ちがちですが、実際にはそうではないのかもしれません。某N社の悲惨な状況と並列に取り上げて「GAFAの後塵を拝する」と評している記事もありますが・・・。
いずれにせよ、「早期退職者を2800名以上も出して、日本のIT大企業の”終わりの始まり”だ」と決めつけるのは早計かもしれません。今後もモニタリングしていきたいと思います。