先日(6/15)、ピープルフォーカスコンサルティング社主催による「ATD2018報告会」が開催されました。これは、毎年グループを組んで人材開発関連のカンファレンスミーティング ATD-ICEに参加しているPFCによる、「今年はこんな内容だった」という情報共有のセミナーです。今年は私自身は現地に行かなかったので、情報収集のために日本で開催したこのセミナーに出席しました。
ラーニングカルチャーやVUCAは前提
ここ2、3年提言されていた「ラーニングカルチャー」「VUCA」については、ATDのセッションの中で、あえてフォーカスしてそれを取り上げることは無くなりつつあり、「それが前提」というものになりつつあるようです。
ラーニングカルチャーについては、確かに「ラーニングカルチャーをつくりあげることが大切」というのは自明だよね、というトーンは既に2017年の時点でも出ていました。昨年は「ラーニングカルチャーを形成するためには、何が必要か」という話は出ていたのですが、今年は、「それは前提」というレベルになろうとしているということか・・・。
マインドフルネス
今年は「マインドフルネス」に関して、様々な視点で紹介されたようです。「マインドフルネス」については、以下の定義がわかりやすいかと思います。
マインドフルネスとは、「今この瞬間」の自分の体験に注意を向けて、現実をあるがままに受け入れることです。1つのことに集中して行います。いつでもどこでも実践できます。
人間はストレスを感じると、それによって動きや考えが止まってしまいがちですが、今あることだけを受け入れて集中できれば、リラックスできるし、自分自身を良い方向にコントロールできるだろうということです。マインドフルネスの状態ならば、記憶力もあがり、学力などの成績も向上すると言われています。言うまでもなく、ビジネスにおいてもポジティブな効果があるでしょう。
ATDでは「脳科学(ニューロサイエンス)」が大々的に取り上げられていたことがありましたが、この手の「人材育成にとって効果的な心理・脳の働きとはどんなものなのか」ということについては、トレンドになりやすいです(笑)。推測ですが、それほど長続きはしないかと・・・。
アンコンシャスバイアス
また、「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」についても多く取り上げられていたようです。今までの生活や習慣などによって無意識に持っている「偏見」によってもたらすネガティブな影響を、どうやって少なくしていくのか・・・ということがテーマとなります。
たしかに「どういうものがアンコンシャスバイアス」なのかを、研修におけるディスカッションやロールプレイングなどを通して体験をすることで、自己認知能力を高めるきっかけになるでしょう。自分の考え全てに偏見を持たないというのは、むずかしいと思います。しかし、客観的に自分の気持ちや考え方を理解できるようになることで、コミュニケーションにおける相手のことを尊重できるはずです。
オバマ氏の基調講演
オバマ氏の基調講演は、かなり熱狂的な雰囲気だったようです。以前、私がオバマ氏がATDでどんなことを話したのかを他の記事を元にまとめましたが、大枠はおさえていたかなと思います。
- よい意思決定をするためにValuesに戻る
- Factを集める
- (オバマ氏自身が決定することは)過去に前例がないものが多いので、慎重にならねばいけなかった
- いろんな立場の人の話に、謙虚に耳を傾ける
- 何かになりたいではなく、何を成し遂げたいのか←スタートアップ企業社長のTwitterでも言われていた(笑)
- 人によって引き起こされた問題で人が解決できないものは無い(J・F・ケネディ)
- 人にやさしく、人の役に立つように(おばあちゃんからの言い伝え)
メモから見るトレンド
この報告会で伺った内容で、私がメモをしたものをご紹介します。ATDの中ではHR Techもラーニングテクノロジーとしてとらえられており、それに関するセッションも多かっただけではなく、AIやVRは実務でも使われつつあります。これは、日本のHR Tech分野も同じだと思います。
- 目的を常に意識して仕事をしないとダメ
- AIによって単純作業はなくなるので、価値を出すことにフォーカスされる
- 仕事で3つ以上のよいところ(強み)を活かせている人はモチベーションが高い
- 仕事のやり方が劇的に変わっている
- VR/ARの活用
- 採用においてAIが活用されつつある
- 異動などもAIが使われつつあり、3年~5年で変わっていくだろう
- リーダーはメンバーのために存在する(サーバントリーダシップ)
- 参加者をひきつけて、やってみたいと思わせること
- マインドセットをみにつける。スピードが速いから
- 人間はかわっていくことができる
- お互いのことを理解するために話す。感謝する
- トレーニングはイベントではなくプロセスである
- 目的にあわせてラーニングをデザインする
- 現場で必要としているスキルをキャッチして、それを作る
- AIによるキュレーションプラットフォーム
来年はワシントンD.C
来年は2019年5月19日(日)~22日(水)@ワシントンD.Cだそうです。私は既にスケジュールのブロックをしました。やはり、これは現地に直接行って情報を得た方が楽しいです。
人材開発のトレンドは、全く新しいことが提唱されることもありますが、前にあった何かがバージョンアップして別の形に変わったり、以前のものが再び繰り返されることも結構多いと思います。←ファッションと似ている
人材開発は自分の専門分野の一つであり、こういった知識や考え方はいろいろな場面で役立つことが多いと思っています。(もちろん仕事としてご依頼があれば、いつでもご相談にのります!)
<追記:ATD2019に参加します!>
<2017年ATDに参加した際の記事まとめ>