先週の金曜日に、HR Expoという東京ビッグサイトで開催されていたイベントに参加しました。そこで、偶然通りかかったGoogleのブースで「30分でわかるGoogleと考える人材採用戦略」というオープンセッションを聞いていたのですが、今まで何となく考えていたことを言語化してくれたような内容だったので、それを紹介しつつ、「採用は人事におけるマーケティング活動である」ということを話したいと思います。
YouTubeを採用に活用しようというのが結論
まず、プレゼンテーションの展開が鮮やかでさすがGoogleだと思いました。問題提起を行い、それを裏付ける論拠を提示し、その問題に対する解決策を提示するだけではなく、実例とその成果を数字で紹介されていたので、説得力が高かったなぁと思いました。
企業の「ファン」を獲得し、短い時間で企業のメッセージを届けるには、感情と情報がつまった動画がよいとのこと。そのためには動画配信サイトのYouTubeは有効な手段だそうです。また、ターゲットとしているミレニアム世代もアクセスしているサイト(アプリ)なので、これを採用活動、特に企業イメージや求める人材像を伝えるのに使わない手はないでしょう、というのが大きなテーマでした。
企業イメージを伝えていくことになるので、採用活動は、もはや人事だけではなく広報との連携も必要である、というメッセージでセッションは終了しました。
どんな人を採用したいのかを確定
よく、「採用は母集団形成が何より重要」という意見を聞きます。部分的にはその通りかもしれませんが、全てにあてはまるとは思っていません。どんなに母集団が大きいものだとしても、その中に「採用したい人」がいなければ全く意味が無いからです。極端な話、一人しか応募がなくても、その一人が自社にとって「採用したい人」そのものであれば、採用活動としての支障はないはずです。
そうなると真っ先に必要となるのが、「そもそもどんな人を採用したいのか?」を明確にすることだと思います。ファイナンスマネジャーを採用したいから、決算書が作成できる、予算が作成できる、ファイナンス部門での実務経験が5年以上・・・などというスキル/経験を明確にすることも必要でしょう。しかし、なぜこのポジションが必要なのか、会社として何を期待しているのか、(担当する方は)仕事を通じて何が実現できるのか・・・といったことをまずは明らかにしておかないと、同じようなスキルや経歴を持った採用候補者が複数いた時に、決められなくなります。
いわゆる「ペルソナ(人物像)」を作ってみるのもよいと思います。ターゲットとしている潜在的顧客層を具現化することだと理解しています。性別・年齢・趣味・キャリア・仕事に求めるもの・仕事上の目標/希望などを記述して、「人物像」をつくっていきます。理想的すぎたり、現実にはいないようなスーパーマンのようなものではダメです。これは、「どんな人を採用したいのか」といった認識の複数者間での共有や、具体的な採用活動を特定するのに有効でしょう。
ペルソナ(人物像)作成も含み、人事業務委託/人事プロジェクト支援などに対応しています。こちら↓をご覧ください。
採用マーケティングは間違いなく必要
今まで記載していた内容は、どちらも採用活動の具体例だと思っています。ただ、こういった手法をあれこれ試すとしても、やみくもに手を出していては意味がないわけで、要件を決めて何をするのかを計画して、実際に行ってみて、その結果を分析した上で、改善点を洗い出してさらに行ってみる・・・・という
PDCAサイクルそのもの
が重要です。無数にある方法と、無限に広がるマーケットを前にして、何の戦略もなく採用活動を行うのは、藁の中から針を見つけようとすることだと思います。そのため、採用にはマーケティングの手法を用いるのが適切かと感じています。
採用をマーケティングとして俯瞰して捉えられる戦略人事ってこの先間違いなく必要です。
採用を担当されている方の中で、そのように感じられている方もいらっしゃるので、間違いないでしょう。また、HR Techサービスでも採用活動にフォーカスしたものも増えておりますが、こちらもマーケティング手法を軸として作られているものが多いです。
最近、伸びている採用関連のツールは全てマーケティングのスキルが活かせるものです。IndeedはGoogle Adwards広告の、WantedlyはFacebook広告の、ビズリーチ/Greenはメールマーケティングのスキル、知見が活かせるサービスです。
こういったサービスは採用管理プロセスに強みがあるところ、候補者の分析を行うところに強みがあるところ、タレントプール(候補者母集団)を形成するところに強みがあるところなど、それぞれ特徴があります。サービスを導入することが目的ではなく、それを使って何を実現したいのかを決めることが先決だと思います。