会社に在籍したまま転職活動を行うことは、もはや普通のことでしょう。退職してから集中的に転職活動を行う方もいらっしゃいますが、それに伴う経済的・精神的なプレッシャーも考慮すると、個人的には在籍しながら転職活動をする方が良いと思っています。
先日、「転職ステーション」様にて、「在籍中の転職活動で気を付けておきたいこと」というタイトルでコラムを掲載してもらいました。上記のサイトでは、比較的一般論についてのみふれておりました。ここでは、私および周囲の経験や行動をふまえた、「これだけは押さえておきたい3つのこと」を述べたいと思います。
メインの転職エージェントは限定する
「いい案件があったら、積極的に紹介してもらいたい」と思って、多くの転職エージェントにコンタクトを取ることもありますが、できれば2つ~3つに絞った方がよいと思います。
- エージェントと会う(あるいは電話面談)のための日程調整をする
- 実際に面談をする。案件を紹介してもらう。
- ご自身で検討した上で、選考に進めてもらうよう依頼する。
- 選考に必要な書類を用意し、転職エージェントに送付する。
上記が終わって、初めて企業の選考のスタートラインに立ちます。これら「1」~「4」のプロセスは、最短でも1週間、通常ならば3週間くらいはかかると考えてもよいでしょう。しかし、これは転職活動の前準備です。これを数多くこなすというのは、スポーツをする前に準備体操だけを何度も繰り返しているのとほぼ同義(笑)。
さらに、転職エージェントも「ピンキリ」なので、対応が(自分にとっては)不適切だった場合も考慮して、「付き合うエージェント」は選択すべきだと思います。では、どんな転職エージェントを選べばよいのか・・・ということについては、こちらを参照していただけると役に立つかもしれません。
私が実際に経験した「キリ」の方の転職エージェント(笑)は、↓に記載しています。
在籍している場合、転職活動そのものに割ける時間は決して多くないと思います。また、複数の転職エージェントとコンタクトを取る=スケジュール管理が複雑になる=管理は自分でしか行えない という状況になります。そういったことも考慮すると、メインとする転職エージェントは2つ~3つくらいが限界だと思います。
その一方で、最近はダイレクトソーシングを積極的に実施している企業も増えてきました。転職エージェントを使わないと転職活動が成り立たない、という時代は終わったとも言えるでしょう。
選考されながら「選考」する
企業との面談を受ける時、たいていの人は「企業に選考される」と思っているでしょう。実際、その通りなのですが、同時に「その会社が自分の次の勤務環境として適切か」を「選考」する立場であることも、心のどこかで持っていた方がよいでしょう。
面接がいくつも重なると、スケジュール上優先順位をつけないといけないことも出てきます。状況によっては、選考のスケジュールを後回しにする、あるいは辞退する必要性が出てきます。先ほど申し上げたように、「在籍している場合、転職活動そのものに割ける時間は決して多くない」という純然たる現実があるからです。
最終面接も突破すると内定が出ます。それが最も希望(志望)度合が高い企業であれば、そのオファーをうければよいでしょう。しかし、そうでない場合は、かなり短い期間でそのオファーを受けるかどうかを判断しなければいけません。
イメージ的には、賃貸住宅を探すことと同じかもしれません。なかなか「良い物件」は見つけらないかもしれません。しかし、いざ見つかった場合はすぐに判断して契約をしないといけません。そうしないと、他の人に先に契約されたり、他の人の判断結果が出るまで待たされることもあるからです。
そのため、在籍しながらの転職活動は、「何らかの結果に対して、次はどうしたいのかを即座に判断する機会の連続」といってもいいかもしれません。さらに、在籍中による時間的制約もあるので、ご自身で「受けている企業の選考」もする必要性が発生します。
「なんかこの会社は、自分がイメージしていたポジション(会社)ではなかったけど、2次面接まで進んだから」という理由で、面接を受け続ける必要はなく、辞退した方がよいです。また、面接時に感じた「違和感」は、場合によっては、採用の意思が無いことのサインかもしれません。
転職活動をしていることを同僚に言わない
在籍中の転職活動で最も重要なのは、「転職活動をしていることを同僚(上司・部下も含む)に言わない」ことだと思います。もちろん、毎日顔を合わせている同僚の場合は、行動などから、自然に「バレて」しまうことはあるかもしれません。そういった「グレーゾーン」は、別に構いません。でも、自ら「転職活動をしていると明言する」のは避けた方がよいでしょう。
転職活動をしている、ということは現在の職場に何らかの不満があることでもあります。不満を持つかどうかは、個人の自由だと思います。でも、それを転職活動中に明らかにする必要はないでしょう。「あいつは転職活動をしているって言っていた」という「本人の口から出た事実」が人づてに伝わることによるポジティブな効果は全くなく、ネガティブな影響しか発生しないのは容易に想像できるでしょう。
また、転職活動をした結果、「現在の環境の方が良い」と思い直し、現職にとどまることも十分にあり得ることです。そんな時に、↑のような「事実」が出回っていたら・・・。そのためにも、「グレーゾーン」にしておいた方が賢明でしょう。