できない・わからない仕事は上司に振ればよい?! 適切なサポートを得るために、部下が知っておくべきこと

コンピテンシー
この記事を書いた人
Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

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会社の社長(会長)ではない限り、企業で勤務していると「上司」という業務上の監督者がいます。部下の業績に対する評価・査定をすることは上司の役割の一つですが、その方法は従来のやり方とは異なるものに変化しつつあることは、以前の記事で書いたとおりです。しかし、上司の役割はそれだけではありません。どちらかといえば、「部下の育成」をすることの方が上司の役割としては重要です。

もちろん、上司がいろいろと段取りをして「育成してくれる」わけではありません。上司によるサポートを得るためには、それなりに部下側もやらねばいけないことがあります。そこで、前回の記事の最後に書いた、「部下は上司に業務上どんなサポートを必要としているのかを伝えるために、自身の業務量やそれに対する到達度合いを、「自分視点」で掌握していることが求められる」について、今回は取り上げたいと思います。

何をサポートして欲しいのかイメージできているか?

まず、最初にあげるのが、これです。要するに、何らかの業務を行うために、クリアしなければいけない障壁が何であるのかが認識できているかどうか、ということです。例えば、こんなことがあげられます。

  • リソース:どういうスキルを持っている人の助けが必要なのかを伝える(XXさんに支援してもらえるとありがたい、といった具体的なことが言えればさらによい など)
  • 期限/時間:明らかにスケジュール上どうにもならない場合に、期限を延ばしてもらったり、後回しにしてもらう。
  • 事前調整:別部門などに何らかの依頼をする時に、その部門の上層部に上司経由で話をしてもらう。
  • スキル/アドバイス:経験が無いので要所要所で指導や指示を受ける。

これ以外にもあるかもしれしれませんが、いずれにせよ自分だけではできないことで、上司のサポートがあれば何とかなる、ということが明確になっていれば、「解決したも同然」です。

何をサポートしてもらいたいのかを既に分析/認識さえしていれば、何でも上司にふってしまえばよいかって?ま、一回くらいはやってもいいかもしれませんが(笑)、何度もやっていると明らかに対応が悪くなるはずですのでご注意を。

何をサポートしてもらいたいのかどうやって洗い出せばよいのか?

上司に「これをサポートしてもらいたい」というレベルまで明確になっていれば、それについて相談すればよいというのは、上記に記載したとおりです。では、何かをサポートしてもらいたいけど、それが何なのかクリアになっていない、あるいは何となくわかるけどモヤっとしている場合はどうすればよいでしょうか?

これは、「自身で洗い出す」「そのモヤっとしたことを上司に相談する(≒ぶつける)」どちらかを行うのがよいでしょう。上司との関係性や、緊急度合いなどによって対応は選択するべきだと思います。ご自身で分析する時間もなく、かつ、緊急性を要しているものの場合は、そのことも含めて上司に相談した方がよいでしょう。上司が回答やそれに導くヒントを持っていることで、あっけなく解決策がみつかることもあります。

では、「自身で洗い出す」場合はどうすればよいでしょうか?これは、少し分解してみればよいと思っています。何が足りていないのか、あるいは、何があれば解決できるのかといったことを、段階を追って考えてみましょう。

例えば、「納期を1か月前倒しにする必要が出てきた」時に、それを実現させるため(あるいは、感情的ではなく論理的に実現不可能だと判断するため)にどうすればよいのか、順番に考えてみましょう。

  1. 1か月前倒しするためのスケジュールを立てる
  2. 上記のスケジュールに即したタスク手順
  3. そのスケジュールを実現させるための工数
  4. 実際に稼働可能なリソース
  5. 「3」と「4」の差の算出
  6. 「5」を埋めるため現実的なリソースが調達できるか?
    1. 稼働時間数を増やす
    2. 全く別のリソースを調達する
  7. 「6」によって増える費用がある場合は、どのくらいかを算出する
  8. 上記とは全く別に、リソースや費用に影響を与えないようにするため、達成する内容を変更し、それに対する現実的なスケジュールを立てる

ここまで分解できれば、その結果次第で上司に対する相談内容は、下記例のように異なってきます。

  • 「3」の工数増大による論理破たん=実現不可能であることを報告・相談
  • 「6」のリソース調達および「7」の費用がクリアできれば実現できるので、具体的な方法の相談
  • 納期前倒しを最優先に考慮し、「8」のように内容を変更することの相談

少なくとも、「そんなこと急に言われてもできるわけないだろ!」というような感情論には陥らずに済みます。

そもそも何をサポートしてもらってよいのか洗い出すこともできなかったら?

何を上司にサポートしてもらったらよいのか見当もつかないし、自分で洗い出してみたものの、それがうまくできなかった場合はどうすればよいでしょうか?これは、その業務に関しては、習熟度が低いということを認識することが最初の一歩だと思います。それを認識した上で、上司にサポートを依頼・相談すべきでしょう。こういう状況の場合、反対に上司の方が、部下の習熟度に応じた振る舞いや指導をする必要性が求められています。

状況によってリーダーシップを使い分ける。SLII®を適用しよう
1か月くらい前の私の記事で、「では、きちんと意義や目的も共有したにも関わらず、アウトプットが今一つだったときはどうすればよいのか?これは別の機会にしたいと思います。」と記載した件について、今回は取り上.....

上司の行動に問題があることも・・・

ここまで部下として適切な行動を取ったら、多くは解決策やサポートが得られたり、少なくとも次の一歩を踏み出すことはできるでしょう。しかし、残念なことに上司そのものが原因で、以下のような反応・態度をとられることもあります。

  • 初めてたずさわる業務について上司にアドバイスを求めたにも関わらず、「最初から他人に頼ろうという姿勢は好ましくない」と的外れなことを言って手を全く貸そうともしない
  • 自分の上司が上層部の動向のみに着目し、自分が業績をあげるための「コマ」として部下のことを扱い、人材育成には全く無頓着である

出典:転職を検討すべきタイミングとは?

こういった場合もあるので、その時は、上司の上司や人事部門など然るべきところに相談しましょう。それでも、一向に改善されない場合は、環境そのものを見直す機会ととらえてもよいと個人的には考えています。

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